講演内容
筋肉内注射や皮下注射では、投与部位により筋肉や皮下組織の構造が異なり、
薬物吸収や効果に差が生じることがあります。
本講演では、投与部位・運動・薬液の希釈が吸収に及ぼす影響を中心に、
吸収に関与する組織学的、生理学的因子を解説し、人、犬、猫で報告された
薬物吸収の部位差や効果の違い、さらにセレニア希釈時のマロピタントの
薬物動態について紹介します。
質問
外用薬(特にステロイド、抗生剤、抗真菌薬合剤)を舐めてしまっている場合は全身から効いているのでしょうか?
回答
外用剤を舐めたときは、舐めた量や薬物の性質により、全身から効果や副作用を発揮する場合があります。
ただ、その舐めた外用薬が(1)胃酸で分解されるか否か、(2)腸で吸収されるか否か、(3)吸収後に肝臓などで代謝されるか否かにより全身での効果や副作用の有無や強度は異なります。
ステロイドは皮膚から吸収されやすく、舐めた場合は消化管からの吸収もされやすいです。
従って、ステロイド外用剤の皮膚接触時間が長かったり、舐めとったりすると、副腎委縮などの全身性の副作用は出やすいです。
ただ、この副作用も塗布量や、舐めとった量が多い時に出現すると考えられます。
回答文は購入後にご確認いただけます。
質問
添付文書に記載がある投与方法を守る、というのを当然の前提として質問いたします。
アモキシシリンLA注は大動物用の注射薬で添付文書には投与方法として筋肉注射と記載してあります。
この薬剤を小動物に皮下注射で利用されている先生をみかけます。
話を聞くと「きちんと効果がでてる」とのことですが、なかなか実際に使ってみるとまではなっておりません(とはいえ実際に十分な効果が期待できるのであれば使いやすい薬剤だと思います)。
こういう薬剤の皮下注射での使用について可能な範囲でコメントや解説をお願いできますでしょうか。
回答
LAではないアモキシシリンを皮下注した場合と筋注した場合の薬物動態を観察した研究があります(文献1)。
この文献によると、アモキシシリンを頸部SC、胸部SC、背部IM、大腿部IMに投与して比較したところ、これら4つの注射部位間に明らかな薬物動態上の差を認めなかったとなっています。
犬にアモキシシリンLA水性懸濁製剤 15 mg/kgをSCまたはIM投与して比較した研究もあります(文献2)
SC、IMでは薬物動態が異なります。
しかし、アモキシシリンは時間依存型抗菌薬で、血中濃度が一定の基準(MIC:最小発育阻止濃度)を超えている「時間」に効果が左右されます。この観点からですと、効果はSC、IMでは違いがありません。
以上の情報より、アモキシシリンLAは、SC、IMで効果に差はないと考えられますが、二つ注意する点があります。
(1)文献3のアモキシシリンLAは『水性 』 懸濁製剤を用いた結果であること
共立製薬のアモキシシリンLAは、『油性 』懸濁剤ですので、文献2のアモキシシリンLAと同様であるかは不明です。
(2)共立製薬のアモキシシリンLAの犬猫での薬物動態の情報がない
SC、IMいずれも共立のアモキシシリンLAが、犬猫で血中濃度を維持して、時間依存性薬として効果を発揮するか否かの情報がありません。
これらの点に留意が必要です。
(文献1) ten Voorde G, Broeze J, Hartman EG, van Gogh H. The influence of the injection site on the bioavailability of ampicillin and amoxycillin in beagles. Vet Q. 1990 Apr;12(2):73-9.
(文献2) https://repositoriosdigitales.sicyt.gob.ar/vufind/Record/RDIUBA_654574a5a3092ae64ef1f1c7e6ab453e
(文献3) https://www.kyoritsuseiyaku.co.jp/products/detail/l7oaqs0000000wm0-att/1009_t.pdf
回答文は購入後にご確認いただけます。
セミナー概要
| オンデマンド配信 | 永続的に視聴可 サイトクローズにより視聴できなくなる場合、6ヶ月以上前に告知します
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| 講師 | 折戸 謙介 先生
麻布大学獣医学部生理学第二研究室 教授
博士(医学) |
| 参加費 | 3,000円(税込) |



